現場医師からの話題
2024.06.24
今、医療現場でひしひしと感じていることは、社会的弱者や貧困の問題です。
昨今日本では貧富の差が拡大しており、心不全医療はその集約のような部分があります。
現場のナースの方々は、そのような患者さんにこそ手を焼き、様々な思いを感じているのではないかと思います。
今、私の診ている患者さんも、80歳代、男性ですが、息子や妻はいらっしゃるのですが生活保護を受け独居で、この数年はネギ一本、野菜というものを食べたことがないと話されていました。全身浮腫や肺水腫で入院されましたが、もっとも大きな悪化要因は生活習慣と孤独であったと考えています。内服調整、すべての利尿剤を中止して、退院予定です。
別の患者さんは路上生活のアルコール中毒、高度の痛風関節炎、歩行不能と低栄養で入院。
日本の貧富の差の拡大により苦しむ患者さんが多く、また。こうした患者さんは医療だけでは何ともならないので、社会的処方が必要になるわけですが、臨床的感覚としては心不全患者の二人に一人くらいが貧困や孤独を抱えているように感じています。
今後、こうした方面への関心と積極的取り組みが日本でも高まることと思います。
次元の異なる話ではありますが、心不全診療も社会とともに二極化している状況があり、
各患者の状況により心身へのアプローチは異なってくるであろうこと、お伝えできればと思いました。